日々の為替相場の変動では、主要国通貨は米ドルに対し、「全面高」ないしは「全面安」という形で、ほぼ連動することが圧倒的に多くなっています。これは為替市場関係者が最も注目しているのが米国の「双子の赤字」、つまり米国の貿易赤字と財政赤字の動向であり、米ドルに対する信認の行方だからです。ただ、各国別の経済力の変化やインフレ動向が注目を集め、主要国通貨の特定通貨が米ドルに対し「独歩高」ないしは「独歩安」になるケースもあります。日本円を例にとると、「独歩高」の典型例は一九九五年三月です。東京市場で一日に一ドル=九六円五〇銭をつけてから急騰し、三十一日には八八円三五銭まで上昇しました。きっかけは前年末に表面化したメキシコ通貨危機でした。「経済的に関係の深い米国のドルにも影響を及ぼす」との見方から、ドルが対円、対ドイツマルクで下落しました。三月当初はマルク買い・ドル売りにつられる形で、円も対ドルで上昇していましたが、下旬に入って投機資金がマルクから円に流れ始めたため、円は対ドルだけでなく、マルクに対しても上昇し、文字通り「独歩高」になりました。